バカラの確率と期待値から計算するストラテジー&セオリー
井川意高氏が100億超溶かしたことで知られるバカラのストラテジーについて
前回の記事「バカラには必須チャート有り! 3枚目の「ヒット」「スタンド」選択は確率で決まる」では、最初のカードが配られた後の「PLAYER」「BANKER」それぞれの行動を決める必須チャートをご紹介しました。
これまでの記事にも書きましたが、バカラは実際にお金を賭けるお客さんが介入する余地がほとんどないギャンブルです。カジノ客にできることは、必須チャートに沿って勝負しているという設定の「PLAYER」と「BANKER」のどちらが勝つか(あるいは引き分けになるか)に賭けることだけです。
つまりギャンブルのバカラは運勝負であると言い切っても過言ではありません。ただ「PLAYER」「BANKER」双方の勝率にはわずかながら差があります。また低確率で「TIE(引き分け)」も発生します。
本記事では「PLAYER」「BANKER」「TIE」それぞれの出現確率を求め、配当とコミッション(ハウスエッジ)も考慮した期待値を計算してみたいと思います。バカラの勝率を上げるセオリーや戦略(ストラテジー)とはどのようなものなのでしょうか。
「PLAYER」「BANKER」「TIE」の出現確率
バカラの賭け方には「PLAYER」「BANKER」「TIE(引き分け)」の3種類があります。
最もメジャーなルールでは8デックのカードを用います。1デックはジョーカーを抜いた52枚です。1デックは4種のスート(「♠」「♣」「♦」「♥」)それぞれに1~10の数字札と「J」「Q」「K」のピクチャーが含まれます。
バカラのハンドは下一桁で決まるので、10=0、J=11=1、Q=12=2、K=13=3と見なします。つまりハンドの内訳は以下の通りになります。
合計枚数 | 1~3 | 4~9と0 | |
---|---|---|---|
1スート | 13枚 | 2枚ずつ | 1枚ずつ |
1デック | 52枚 | 8枚ずつ | 4枚ずつ |
8デック | 416枚 | 64枚ずつ | 32枚ずつ |
勝負を続けていき、山札が半分(4デック208枚)を切ると、新たに8デック416枚が補充されます。
ピクチャーの10の位は無視されるため、ハンドに1~3が含まれる確率が高くなります。1~3が出やすいという事情と、前回ご紹介したゲーム進行に必要な必須チャートから、「PLAYER」「BANKER」「TIE」の出現確率は以下の表のように求められます。
結果 | 出現率 | 配当 |
---|---|---|
PLAYERの勝ち | 約44.62% | 2倍(1to1) |
BANKERの勝ち | 約45.86% | 1.95倍 |
TIE(引き分け) | 約9.52% | 8倍 |
バカラは実質「PLAYER」と「BANKER」の二択だとよく言われますが、厳密に計算するとBANKERの出現率が1%強高いです。引き分ける確率が約9.5%程度なのですから、1%強というのは無視できる数字ではありません。
このままでは「BANKER」にベットする人ばかりになって賭けが成立しなくなります。そこでBANKERに賭けて勝った場合の配当から、5%のハウスエッジ(バンカーコミッション)を徴収することでゲーム上の有利を帳消しにしているのです。
こう書くとまるで「BANKER」に賭ける人だけがカジノへ手数料を納めているように見えて、不公平に感じるかもしれませんね。でも実際には「賭けた側が負けた」場合も掛け金が没収されるので、ハウスエッジは満遍なく全体から徴収されています。「バンカーコミッション」というのは、あくまで「BANKER」と「PLAYER」の勝率の差を調整するために設けられたものにすぎません。
それでは「PLAYER」「BANKER」「TIE」それぞれに賭けた場合の期待値と配当、ハウスエッジの割合を見てみましょう。1回の賭け金は「1,000円」とします。
「PLAYER」に賭けた場合
まずはPLAYERに賭けた場合を計算します。
結果 | 出現率 | 配当 |
---|---|---|
「PLAYER」の勝ち | 約44.62% | 2倍 |
「BANKER」の勝ち | 約45.86% | 0倍(賭け金没収) |
「TIE」 | 約9.52% | 1倍(賭け金返却) |
上の表から、PLAYERに賭けた場合の期待値は 44.62×2+45.86×0+9.52×1=約98.76% となります。
よって1,000円賭けた場合、約987.6円程度の配当が期待できます。
またPLAYERに賭けた場合のハウスエッジは、BANKERが勝った場合の賭け金全額没収が該当するので、100-98.76=約1.24%だとわかります。
「BANKER」に賭けた場合
次にBANKERに賭けた場合を計算します。
結果 | 出現率 | 配当 |
---|---|---|
「PLAYER」の勝ち | 約44.62% | 0倍(賭け金没収) |
「BANKER」の勝ち | 約45.86% | 1.95倍 |
「TIE」 | 約9.52% | 1倍(賭け金返却) |
上の表から、BANKERに賭けた場合の期待値は 44.62×0+45.86×1.95+9.52×1=約98.95% となります。
よって1,000円賭けた場合、約989.5円の配当が期待できます。
また、ハウスエッジは約1.06%です。
「TIE」に賭けた場合
さらに「TIE」に賭けた場合を計算します。配当は8倍とします。
結果 | 出現率 | 配当 |
---|---|---|
「PLAYER」の勝ち | 約44.62% | 0倍(賭け金没収) |
「BANKER」の勝ち | 約45.86% | 0倍(賭け金没収) |
「TIE」 | 約9.52% | 8倍 |
上の表から、BANKERに賭けた場合の期待値は 44.62×0+45.86×0+9.52×8=約76.16% となります。
よって1,000円賭けた場合、約761.6円の配当が期待できます。この期待値はパチンコ・パチスロと同程度で、カジノゲームの期待値としては非常に低いと言わざるを得ません。
また、TIEに賭けた場合のハウスエッジは約14.36%です。
期待値とハウスエッジまとめ
ここまでのおさらいで、「PLAYER」「BANKER」「TIE」それぞれの期待値とハウスエッジをまとめておきます。
賭け対象 | 期待値 | ハウスエッジ |
---|---|---|
PLAYER | 約98.76% | 約1.24% |
BANKER | 約98.95% | 約1.06% |
TIE | 約76.16% | 約14.36% |
バンカーコミッションで調整しても、ほんのわずかだけ「BANKER」の期待値が高いことがわかりました。ただしこの程度の差ならほぼ五分と言えます。そして「TIE」は明確に期待値が低いので、バカラで大儲けしたいなら賭けるべきではありません。
また8デックではなく6デックで勝負する場合や、TIEの配当倍率が8倍以外に設定されている場合でも、期待値やハウスエッジにほとんど差は生まれません。
結局「PLAYER」「BANKER」のいずれかに賭けて勝負を重ねていくことこそ、バカラの王道攻略法ということになります。両者の期待値にほとんど差がないので、バカラに挑む人が気にすべきなのは「配られるカードの偏り」です。
計算で求められる確率や期待値と違って、現実には「偏り」があります。極端な例ですが、コインを投げて表が出る確率は1/2ですが、だからといって2回投げたら必ず1回表が出るとは限りません。さらに言うと10回投げて10回とも裏になる可能性だって十分あります。そして10回中10回が裏だったからといって、11回目が裏になるとも限りません。
バカラにおいて、理論上の数字と実際にプレイしている人の体感に大きなズレが生じるのは珍しいことではありません。なぜなら、1デックの中で1~3はダブりが多いので、ゲームが進んで山札が補充される直前ほど小さい数字が出る可能性が高くなるからです。
改めて別の記事でご紹介しますが、配られる手札の偏りがチェックできる「罫線」という記録表や、「PLAYER」「BANKER」のどちらかが連勝する「出目(ツラ)」について把握すると、勝率を上げられるかもしれません。
また大数の法則を意識して、ほどほどのところで勝負をおりる冷静さも重要です。
マカオのローカルルール「Pair」(ペアベット)とは?
バカラのメッカであるマカオには、「PLAYER」「BANKER」「TIE」以外にも「Pair」(ペアベット)という賭け方があります。最初に配られる2枚の手札がゾロ目になると予測し、さらにそのゾロ目が「PLAYER」「BANKER」のどちらに出るかを予測して賭けます。
PLAYERの手札がゾロ目になる場合を「プレイヤーペア」、BANKERの手札がゾロ目になる場合を「バンカーペア」といいます。
「Pair」に賭けた場合の配当や期待値を見てみましょう。
結果 | 出現率 | 配当 |
---|---|---|
「Pair」 | 7.47% | 11倍 |
「Pair」以外 | 92.53% | 0倍(賭け金没収) |
配当は11倍ですが、出現率が低いため期待値は約82.17%にしかなりません。1,000円賭けた場合に期待できる配当は約821.7円程度です。「TIE」よりはマシとはいえ、カジノゲームとしては期待値が低いと言わざるを得ません。徴収されるハウスエッジも約10.36%と高めです。
リアルカジノでは最も大金を賭けた人にカードめくりの権利が与えられる!
バカラの確率と期待値を計算すると、結局「PLAYER」と「BANkER」に賭けるのが一番だということがわかります。またバンカーコミッションとは別に、ゲーム参加者全員からハウスエッジが徴収されているというのもご理解いただけたと思います。
筆者はマカオのカジノで実際にバカラをプレイしたことがあります。バカラは中華系の方に非常に人気が高く、1回のベッティングで100万円以上の金額を使う人もたまに見かけました。
リアルカジノでは「PLAYER」「BANKER」それぞれに最も大きな額を賭けた人に、伏せてあるカードをめくる栄誉と権利が与えらえます。じわじわとじらしながらめくる「しぼり」というテクニックがあって、それはもうとんでもなくドキドキしますし盛り上がります。大人数でテーブルを囲んでワイワイ楽しむにはうってつけのゲームというわけです。
ただしルールが単純な分、勝つときは何も考えていなくても所持金を何倍にもできますし、逆に負けが込んであっという間にすっからかんになることもあります。大王製紙元会長の井川意高氏が大借金を拵えたのもバカラが原因なので遊ぶときは熱くなりすぎないよう注意が必要です。心はホット、頭はクールに保つのがベストです。
マカオの「ヴェネチアン・マカオ」では一般フロアのバカラテーブルでも最低ベット額が3万円~程度に設定されています。いくらバカラのメッカがマカオだと言っても、いきなりマカオのリアルカジノでバカラデビューするのはお金がかかりすぎるので、まずは最低ベット額1ドル・最高ベット額5,000ドルのベラジョンカジノで遊んでみるのはいかがでしょうか?
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