「コンプ」で高級車ゲット!? カジノで遊ぶほど増える無料サービスの実態

これまでさまざまな国のカジノ(IR施設)を紹介してきましたが、規模や程度の差こそあれ、どのカジノも非常にラグジュアリーです。ホテルは全室スイートがもはや当たり前ですし、ほんの少し遊ぶだけの一般人でも無料飲食サービスが利用できることもあります。
カジノがよく儲かっているであろうことは容易に想像がつきますが、それにしても無料サービスやプレゼントが豪華すぎるように感じませんか? もちろん利用者としてはサービスがいいほうが嬉しいに決まってるんですけど…。
カジノが提供する無料サービスやプレゼントのことを「コンプ」といいます。なぜカジノはここまで豪華なコンプを用意するのでしょうか。コンプに必要なお金はどのように捻出されているのでしょうか。
お金をたくさん使う人が神様

カジノの世界で最もパワーを持っているのはずばり「お金」です。カジノに限らずお金をよく使う人は上客として丁重に扱われるものですが、カジノはレベルが段違いです。
カジノでは毎日ものすごい額のお金が飛び交っています。「カジノ推進派も反対派も必読! 日本人エージェントが紹介するカジノの実態や悲喜こもごも」でご紹介した通り、カジノ経営がうまくいっているマカオでは、税収が増えすぎて国民全員にお小遣い(税金の還付)が配られるほどです。
その収益のほとんどはVIPルームからのものです。Very Important Personとはよくいったもので、たくさんのお金を使ってくれるVIP客がいないとカジノは成りたちません。カジノにおいてVIP客こそが神様なのです。
「コンプ(complimentary)」は利用者優待の無料サービス

カジノにおける無料サービスやプレゼントのことを「コンプ」といいます。「complimentary」の略で、直訳すると「優待」という意味です。
優待といえば「株主優待」が思い浮かびます。ある企業の株を買うと、持ち株数に応じて様々な優待サービスが受けられます。たとえば、定期的にハウス食品の製品がもらえる「ハウス食品グループ本社株式会社」などが有名です。
コンプは株主優待のようなものです。カジノで遊ぶお客さんから得た収益のうち一部を、サービスやプレゼントとして還元しているのです。
VIPルームでは何百億、何千億という大金が毎日動いていて、一般的な感覚では想像が及ばないほどの利益が毎日上がっています。VIP客がカジノで散財する額からすると、コンプを用意するための額なんてたかがしれています。
金払いのいいVIP客に繰り返し訪問してもらうことが、経営を安定させる上で最も重要なことです。VIPに気持ちよく遊んでもらい、また来ようと思ってもらうために、コンプという形で様々なサービスを提供したり、プレゼントを贈ったりするのです。
賭けまくったら無料でサービスやプレゼントが貰えちまうんだ!
代表的なコンプは、カジノ内の飲食が無料になるサービスや、ホテルの豪華な部屋に無料(または格安)で宿泊できるサービスです。たいていのカジノでは、一般人でも会員になってポイントを貯めれば利用できます。
IR施設では収益のほとんどをカジノが占めています。カジノ以外の施設・サービスの料金をきっちり徴収するより、カジノでたくさんお金を使ってもらう方が圧倒的に儲かります。豪華なコンプはれっきとした投資なのです。
VIPやそれに準ずる大金を使うお客さん(ハイローラーなど)には、カジノ滞在中以外にもサービスが用意されています。代表的な例が、航空機の無料チケットプレゼントです。VIP客が来てくれるのなら、ファーストクラスの往復チケットなんて安いもの、ということです。
ジャックポット(大当たり)は宣伝になる
「アメリカの宝くじでジャックポット!過去最高の約1700億円の大当たり!!」のように、ジャックポットはしばしばニュースになります。ジャックポットとは、1回のゲームで高額の当選金が当たることです。
ジャックポットは、実はコンプに似た性質を持っています。
コンプはVIP・一般問わず、優良顧客をつなぎとめるためのサービスです。ジャックポットは優良顧客になりえる人を集めるためのサービスなのです。
人を集めるためには広告(CM)が重要です。しかしギャンブルに対する法律は国によってまちまちなので、世界中にカジノのCMを打つことはできません。その点、ジャックポットには素晴らしい宣伝効果があります。
まず「ジャックポットが出た」「高額賞金をもらった人がいる」という事実に夢があります。誰もが羨みます。そして広告できない国や地域にも、ジャックポットが出たというニュースは配信されます。ただの宣伝よりもずっとたくさんの人が集まるでしょう。
同額の現金より、高級プレゼントのほうが話題になる
コンプには無料サービス以外に、豪華プレゼントが含まれることもあります。
高額ジャックポットと同じように、豪華なプレゼントが貰えるというのはいい宣伝になります。カジノでときどきジャックポットが出るのは、ある意味当たり前のことで、少々の額では「すごい!」とは思わないかもしれません。
しかし当たったものが高価なものだったらどうでしょうか。「1億5,000万円あたった」と言われるより、「フェラーリ当たった」と言われた方が、いろんな意味で興味がわきませんか? どうやって持ってかえるのか、とか、そもそも免許持ってない場合はどうするのか、とか(笑)
実際に貰うなら現金のほうがありがたいかもしれませんが、高級車のほうがインパクトは圧倒的に上です。
コンプが豪華なことで有名な「オカダマニラ(okada manila)」では、定期的に高級車やバイクが当たるイベントを開催しています。
https://www.instagram.com/p/Bdh330MH3Oo/オカダマニラのカジノ内には普段からハーレー製品が展示されていて、その場で購入できるようになっています。なぜハーレーなんでしょう? オーナー・岡田氏の趣味でしょうか。
荷物重量オーバー! どうやってコンプのプレゼントを持ち帰る?

お客さんを呼び込むため、世界中のカジノがクリスマスイベントを開催しています。普段よりジャックポットや高価なプレゼントが当たりやすくなっています。高級車が貰えるチャンスは誰にでもあります。
しかし実際に高級車が当たったら、嬉しい反面、ちょっと困るんじゃないかと思います。どうやって持って帰ろうかな、と。
個人輸入は海路(船)が一番安い
陸路が使えない場合、船で輸送するのが一般的です。国内でもフェリーに自動車を乗せることはありますよね。海外との取引には自動車運搬船という、駐車場がそのまま船になったような大きな船を用います。
個人輸入する場合も、各国の海運会社が運航している自動車運搬船・貨物船を間借りして乗せてもらいます。大阪港~マニラ港なら、海をわたるのに7~15日、積み下ろしや諸手続きに+10日程度かかります。
運賃は荷物の価値や保険の有無などで大きく変わります。目安は「World Freight Rates」というサイトで調べられます。船による輸送は距離が長くなるほどお得になるという特徴があります。
待つのが嫌いな方は飛行機で

貰った高級車にすぐにでも乗りたいという方は、飛行機(貨物機)で空輸することもできます。ただし、輸送費は船とは比べ物にならないほど高額になります。
例えばボーイング747貨物機は、同型の旅客機の2倍以上の重量(約100トン~)を載せて飛びます。荷物が重いほど飛行機は燃費が悪くなり、燃料費が余分にかかります。長距離なら給油のために一度地上に降りなくてはなりません。荷物のバランスを計算して積み込む専門スタッフの人件費も必要です。
自動車やバイクの空輸は、一般人にはハードルが高いと言わざるをえません。
逆にVIPルームで豪遊するお金持ちの中には、車が大好きで、旅行先に愛車を飛行機で運ぶような人もいます。ナショナルジオグラフィックの『密着!ドバイ国際空港』シリーズでは、VIP客から預かった超高級車を運転して積み込む、スーパードライバーの仕事が何度も描かれました。とても面白いので興味がある方はぜひご覧になってください。
ちなみに手荷物レベルでも重量オーバーはご法度です。JAL国際線のエコノミークラスでは、1人あたり23kg以内の荷物2つまでと決められていて、少しでもオーバーしたら超過料金(安くても1万円前後から)が請求されます。
飛行機が空いている時期なら、超過料金(オーバー分の燃料代)を支払えば積んでもらえます。しかしクリスマスシーズンはほとんどの人が大荷物なので余裕がありません。物理的に載せきれない場合は別料金を払って、後の便や貨物便で運んでもらうことになります。
カジノでプレゼントを貰ったら、手荷物の量を確認しなおすべきですね。
面倒な手続きはカジノに任せよう!
ものを輸出入するにはいろいろな手続きが必要です。自動車やバイクのような大きい精密品(壊れ物)は特に面倒です。貰っても困る、と思うかもしれません。安心してください。コンプはお客さんを喜ばせるためのものです。煩雑な手続きは当然カジノが代行してくれます。
現地で売却することも可能です。負けがこんでいるときに高級車が当たったら、間違いなくガッツポーズしますね(笑)
さらにお金さえあれば、現地に駐車場を借りて置いておくこともできます。カジノエージェントは、VIP客のお願いごとなら大抵かなえてくれます。ただし日本人が国外で車を運転するときには、国際免許証もしくはその国の運転免許証が必要になるのでその点は注意が必要です。
「国際免許」とはジュネーヴ条約加盟国が、道路交通に関する条約に基づいてそれぞれの国で発行された国際免許証を認め合うシステムです。日本で発行された「国外免許証(国際免許証)」は、ジュネーヴ条約加盟国内では「運転免許証」として通用するということです。
国外免許証の取得には、有効期限が1年以上残っている日本の運転免許証が必要です(運転免許の有効期限が残り1年未満で国外免許証が必要な場合は、特別に免許を更新できます)。免許センター等に申請すると「国外免許証」が発行され、これがジュネーヴ条約加盟国で「国際免許証」として扱われます。発行にかかる時間は申請先によってまちまちで、免許センターなら申請後最短30分程度、警察なら2週間程度かかります。
旅行先で運転したい場合は、渡航先がジュネーヴ条約の加盟国かどうかを事前に確認しておきましょう。ドイツとスイスは加盟していませんが、定められた期間内だけ国際免許証が有効とされます。フェラーリは普通免許の国際免許証、ハーレー(バイク)の運転には大型二輪の国際免許証が必要です。
余談ですが、原付の国際免許はありません。原付免許で乗れるのは排気量50cc以下のバイク(いわゆる原チャリ)なのですが、普及しているのは日本だけです。アジア圏で大人気のスクーターは125ccクラスのもので、運転には普通自動二輪免許の国際免許が必要です。
VIPやハイローラーに、リピーターになってほしい!
コンプはVIPをはじめとする、たくさんお金を使ってくれるお客さんへのサービスです。カジノで気持ちよく遊び、また来ようと思ってもらうために提供されます。ですので、どのサービスも(カジノで使う額と比較すると)コスパがいいと思います。
一般フロアで遊ぶ人の中でも、何度も来訪してくれる人やハイローラーは大事なお客さんです。豪華コンプの恩恵にあずかりたいなら、こまめに通ってポイントを貯めるか、デポジット額を思い切りはずみましょう。
「クレカのキャッシュ枠でウォン換金OK! パラダイスカジノで遊ぶならVIPカードを作らなきゃ損!」でご紹介したように、VIPになりやすくコンプ内容がおいしいカジノもあります。コンプの内容で通うカジノを決めるのもアリだと思います。
次回は、ジャックポットやコンプの一環でもらったプレゼントにかかる税金についてみていきます。
